繰り上がりのある足し算2 [学習]
前の記事で、繰り上がりの足し算を教えたとき、3つの数を足すことがなかなかできなかったと書きました。例えば、
1
378
+158
6
1と7と5を足すことがなかなかうまくいかなかったのです。私もその日は一通り手順を繰り返し教えはしましたが、別にできてもできなくてもいいという気持ちだったので、その後は放っておきました。そして先日、久しぶりに乙女ちゃんが算数の問題集をもってきてたので、復習もかねて繰り上がりのある足し算をやってもらいました。そうしたらなんと、完璧にできるようになっていたのです。
上の問題でいえば、「1と7を足して8」と言いながら
1
378 8
+158
6
と8を脇に書いて、次に「8と5を足して(8を基準にしてそこから片手で5つ数えることは一桁の足し算の記事で練習済みなので、その通りに片方の手で指で数えながら)9,10,11,12,13」と言いながら
11
378 8
+158
36
と書き、「1と3を足して4」と言いながら
11
378 8
+158 4
36
と脇に書いて、「4と1を足して5」と言いながら、
11
378 8
+158 4
536
と完全にできるようになっていたのです。
しかも別に彼女は私が教えた後に何度も自分で練習したわけではないのです。算数の問題集のページの日付を見ると、数ヶ月前、つまり以前教えた日の2,3日後で止まっています。つまりそれ以降は彼女自身も手をつけてないのです。彼女も久しぶりにやったのです。それでも以前に2日程度の間だけですが繰り返し教えたことがしっかりできるようになっている。
いやはや驚きました。おそらく教えたときは情報量が多すぎて頭の中で整理できなかったことも、頭の中には残っていて、時間が経過していくなかで彼女自身の頭の中でそれらの情報が熟成され、いつの間に一連の手順を整理できるようになったのだと思います。
と同時に、とても簡単なものは暗算でできるようになっているものもありました。昔は5+2でも指で数えないとできなかったのですが、頭の中だけでできるようになっていました。なんとなくでも、数の感覚を身につけていっているのだと思います。
だからといって、何か数学的な高度なことをやらせようというつもりはありませんが、脳の使い方が以前と比べてあきらかに向上している様子を見るのはよいものだと思いました。
これまでも、どうせわからないだろう、ではなく、とりあえずやりかたを伝えておくことで、少しずつ彼女の生活上のスキルが向上してきた経緯はあるのですが、今回は数の計算という明確な形でそれを目にすることができて、改めて、とにかく伝えておくこと、の重要性を感じました。
できることを無理に強要するのではなく、とりあえず繰り返し伝えておき、情報を頭の中に残しておくことで、彼女の脳はダウン症者なりのペースでそれらをゆっくり吸収していくのだと感じました。
なお、計算自体がどうということよりも、私は、少し入り組んだ手続きをしっかりこなせるということを評価したいと思います。将来、どんな仕事をするにしても、ダウン症者に計算など誰も求めませんが、一連のまとまった手続きをきちんとこなせるということは、どんな仕事にも必要になるからです。